世界遺産にもなった仏教遺跡群であり、東南アジアに繁榮を極めていたアユタヤ王朝の首都でもある。
地形を見るとわかるようにチャオプラヤー川やその他河川によって囲まれた陸地をうまく使って街を建設されている。仏教が盛んな王朝ではあるが街は防衛を意識して造られているのが伺える。
遺跡としてみることができるのは主に寺院として建設されたところであるが、寺院だけでも相当な規模がある。おびただしい仏塔と仏像の数々によくぞこれだけ建てたものだと感心するばかり。これだと往時の暮らしていた僧侶の数もかなりいたのではないだろうか?
王朝ということで王宮はどこかと探してみたが、こちらは滅亡時に徹底的に破壊されたそうな。
意気込んで遺跡周辺を歩いてまわってみたがさすがに暑い。カッと照りかかる日光でムワッとした暑さに熱射病になりそうだ。これなら宿でレンタサイクルを借りるべきだった。しかし後の祭り、日光でお湯と化した水を持って遺跡をぐるっとまわってみる。
一体どれだけ寺院があったのだろう?
壊れた仏塔や仏像を見ると中のベースはレンガで造られている。その上に漆喰のようなもので外装を施して装飾しているようだ。
表面には滅亡時に火を放たれたための黒い焦げ跡もそこかしこに見える。熱心に仏教に入れ込んでも結局は争いや戦争から逃れられないのは人間としての性なのかもしれない。
祈りの声が響いていたであろう仏塔のレンガ造りの内部は空洞となっていて、今では鳥や野良犬の格好の棲家となっている。
その荒廃した成れの果てに「人の栄華も夢の跡、遠い記憶の彼方」といった姿を見せているが、かつては大仏が鎮座していたであろう祭壇に真新しいお供えがしてあるのを見ると、今でもここは寺院として人々の信仰を集めているということを感じた。
たとえ争い、戦い、滅びても、人々は平和を求め祈り続ける。それも人間の性か。
アユタヤは死なず。なのである。
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鈴木勝彦
“World Journey”
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